トランシーバーを導入する際は、通信距離に注意しておきましょう。種類によって通信可能な距離が変わるため、違いを把握することが大切です。ここでは、トランシーバーの通信距離の目安や、長距離通信に対応したおすすめの製品を紹介しています。
トランシーバーの通信距離は、種類と環境によって変化します。
トランシーバーの通信距離を左右する要素は電波の種類と出力です。電波はUHFと携帯電話回線(LTE)があり、前者は短距離、後者は長距離通信に適しています。出力(mW~W)も同様で、小さいほど通信距離が短く、大きいほど長距離通信が可能です。
トランシーバーの種類では、「特定小電力<デジタル簡易無線<IP無線」の順に通信距離が長くなります。ただし、IP無線機はLTEを使用するため、携帯電話の電波が入らない場所では使用できません。
見通し距離と実際の距離の違いも注意が必要です。トランシーバーの通信が届く距離は、建物や地形、障害物の距離によって変動します。天候も影響しますので、使用環境により大きく変動する、と捉えておきましょう。
たとえば、見通し距離が数kmのトランシーバーでも、市街地やビルなどの建物内、地下では数百m程度になる可能性があります。特に出力が小さい場合、使用環境の影響を受けやすい点に注意しましょう。
トランシーバーの種類別に通信距離の目安をご紹介します。
特定小電力トランシーバーは出力が10mW以下で、通信距離は数百mが目安です。屋外で見通しがよい場所では、数km通信できる場合もあります。低出力のため障害物に弱いものの、近距離での通信は安定しています。屋内の工事現場や飲食店・ホテルなど、限られた範囲で連絡を取り合うときに適した無線機です。
デジタル簡易無線は出力が5Wあり、数kmの範囲で通信できます。特定小電力トランシーバーよりも通信範囲は広く、屋外はもちろん、建物越しや地下でも安定した通信が可能です。ただし、使用する際に登録・免許申請が必要な機種もあります。導入前に確認しておきましょう。
LTEを利用するIP無線機は、全国どこでも長距離通信が可能です。電波の到達距離に制限がなく、LTEのエリア内であれば通信できます。通信の安定性は場所によって異なるものの、距離の制限を受けない点が強み。広域で利用したいときや、遠隔での連携が求められる場面に適しています。
限られた範囲内か、屋内を中心に利用する場合は特定小電力トランシーバーが向いているでしょう。導入のハードルが低く、短距離なら安定した通信が可能です。一方、地下や遮蔽物が多い現場ではデジタル簡易無線が適しています。出力が大きいため、障害物の影響を抑えられます。
車両間の通信や、広域通信が必要なときはIP無線機を選びましょう。距離の制約がないため、数km以上離れた相手とも通話可能です。
簡易無線機とIP無線機を接続するためのアダプターです。通常のトランシーバーではカバーできないエリアを、IP無線機で補完できるようになります。デジタル簡易無線を中心に、主要メーカーの無線機と接続が可能。既存無線機の活用や長距離通信手段の確保など、さまざまな用途に使えます。
大型のカラーディスプレイを搭載したIP無線機です。文字が大きく、通話する相手やグループを簡単に呼び出せます。デュアルSIMに対応しており、任意に携帯回線を切り替えられる点も魅力。使用している携帯回線で障害が発生したときは、もう片方の携帯回線を選択して通話を継続できます。
NTTドコモやauの携帯回線を利用できるIP無線機です。日本全国をカバーしており、距離を気にせずリアルタイムな長距離通信が可能。現場と拠点が離れている場合や、長距離での連携が求められる現場に適しています。また、同時通話・多重通話に対応しているため、携帯電話のように自然なやり取りが可能です。
トランシーバーは、距離だけでなく使用場所や自社のニーズに合った製品を選びましょう。本メディアでは、現場やニーズ別におすすめの業務用トランシーバーを紹介しています。通信距離以外も比較・検討したいときにお役立てください。
Q 「通信距離1km」と書かれている機種なら、建物の中でも1km届きますか?
建物の中でも1km届くという意味ではありません。
表示距離は特定の条件での目安で、壁、階数、金属設備などがあると短くなる場合があります。 候補機種を実際の建物で使い、最も離れる2地点と連絡が途切れては困る場所で通話を試してください。
屋外の見通しがよい条件での目安を、屋内の到達距離へそのまま当てはめられません。同じ建物でも防火扉の開閉や人の位置で変わるため、通常時と連絡が重要な作業時の両方を想定します。
Q 電波が届きにくい場合、送信出力の大きい機種へ替えれば解決しますか?
高出力機へ替えるだけで解決するとは限りません。
壁や地形による遮蔽、アンテナの位置、無線方式が原因なら、出力だけでは改善しない場合があります。まず通話できない地点を地図に記録し、位置を変えた試験と、中継器や別方式の検討をしてください。
端末の片方だけ出力を上げても、相手側からの返信が届かなければ会話は成立しません。送信側と受信側を入れ替えた試験をすると、片方向だけ届きにくい問題も見つけられます。
Q 中継器を置けば、通信距離はどこまでも伸ばせますか?
中継器を置いても、距離を無制限には伸ばせません。
中継器と各端末の間にも電波が届く必要があり、設置場所や対応機種に条件があります。 中継器を設置できる場所から通話が必要な地点までを確認し、導入前に想定配置で通信試験をしてください。
中継器の電源を確保できるか、設置が認められる場所かも先に確認が必要です。非常時にも使うなら、停電した場合に中継器が使えなくなる可能性も運用に含めてください。
Q 地下やトンネルなら、全国につながるIP無線を選べば安心ですか?
IP無線も、地下やトンネルで必ずつながるわけではありません。
利用する携帯回線やWi-Fiが圏外なら通話できません。通信事業者のエリア情報だけで決めず、出入口・坑内・非常時の連絡地点で実機を試し、圏外時の代替手段も決めてください。
通信事業者のエリア表示は、坑内のすべての場所で使えることを示しません。退避経路や作業場所の奥で圏外になるなら、地上側と連絡する別の方法を用意する必要があります。
Q 複数フロアの建物では、距離より何を確認したほうがよいですか?
直線距離より、壁や床を隔てた地点間で通話できるかが重要です。
階段室、エレベーター付近、機械室などは電波の届き方が変わることがあります。 普段連絡するフロア間と非常時の連絡地点を組み合わせて、通話の可否を現地で確認してください。
例えば同じフロアの両端で届いても、上下階の機械室との通話が途切れることがあります。建物の距離だけでなく、連絡相手の組み合わせを一覧にして試すと漏れを防げます。
トランシーバー選びで重要なのは、使用する環境やシーンに合う性能・機能があるかどうか。ここでは、業界ごとにおすすめの機種をご紹介。どれも資格・登録不要なので、すぐに使い始められます。

水に落としても使える防水性能※1に加えて、-10℃から+60℃の温度環境に対応。雨に打たれる高所作業や、炎天下・雷雨・極寒の現場でも心配なく使える。
100dB相当でもクリアに聞こえるノイズキャンセリングを搭載。クレーンや重機の騒音、強風の中でも対面で話しているかのようにクリアに聞きとることが可能。
| 通話距離 | 1,000m |
|---|---|
| 中継器使用時 | 最長1,500m |
| 連続使用時間 | 約12時間 |
| 電源 | 充電式リチウムイオン電池 |
| 認証 | 工事設計認証005-102376、FCC、CE |
| ハンズフリー | 対応 |

ボタン1つで通話グループを切り替え可能で、設営・音響・警備・受付など、異なるチーム間でも即接続。現場全体の動きに合わせ、横断的な指示がスムーズに行える。
決めておいた音量にワンタッチで合わせられる。何度もボリュームを刻んで上げ下げする手間がなく、周囲の音環境が急に変わる場面でも聞き逃しを防ぐ。
| 通話距離 | 記載なし |
|---|---|
| 中継器使用時 | 記載なし |
| 連続使用時間 | 約80時間(単3形アルカリ乾電池使用時) |
| 電源 | 単3形アルカリ乾電池/充電式ニッケル水素電池/リチウムイオン バッテリーパック BP-258 |
| 認証 | 記載なし |
| ハンズフリー | 記載なし |

ドコモとauの2回線とWi-Fiに対応。携帯電波が不安定になりやすい山道・トンネルなどでも通信が途切れにくく、運行指示や緊急連絡を受け取れる。
GPS搭載で全ドライバーの現在地を見える化。渋滞や配送状況を見ながら、労務管理や配送ルートの確認ができる。
| 通話距離 | 携帯電話の通話範囲+Wi-Fi対応範囲 |
|---|---|
| 中継器使用時 | 記載なし |
| 連続使用時間 | 20時間以上※2 |
| 電源 | USB(Type-C)充電端子 |
| 認証 | 技術基準適合証明(工事設計認証) |
| ハンズフリー | 対応 |
※1 IPX7規格 参照元:B-EAR(ベアー)公式HP(https://bearidge.com/product/x10/)
※2 単信(交互通話)方式 による通信(送信5:受信5:待ち受け90の割合による運用を想定) GPSオフ、Wi-Fiオフの条件